4.29.2017

〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件:早坂吝:解説・感想

「タイトル当て」でミステリランキングを席巻した。
第50回メフィスト賞受賞作

「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」早坂吝


※解説・感想はネタバレも含みます






最初の1ページ目に

読者への挑戦状として
"犯人当て(フーダニット)でも、トリック当て(ハウダニット)でも、動機当て(ホワイダニット)でもなく、タイトル当てである。"

と、あります。
なかなか無い志向だと思い手に取ることにしました。

総評
大変おもしろかったです。

この本を読むには、「タイトルを当てよう」という考えを持たないで呼んだほうがいいと思いました。
その理由は
ミステリ小説を読む場合、伏線やヒント、ミスリードなどを推理しながら読んでいくか
主人公と同化して、主人公になりきってその世界に飛び込むかだと思います。

この本の場合、主人公の設定がとてもよかったです。
なので、
「タイトルを当てよう」と考えず。余計な推理もせず。
主人公と一緒に物語を進めていったほうが楽しめると思います。

主人公
沖健太郎(26)区役所職員は
普段はおとなしく気弱な「僕」だが、南国モードになった「俺」がおもしろい。

とくに南国モード発動(全裸)になった瞬間の「俺」は見ものです(笑)
沖くんの心の声が、自分の心の声と同調させて読むと、ホント一緒に走り出したい気持ちになるはずです。

人は如何なる場所でも、心も体もすべてむき出しにすることはかなり難しいでしょう。
沖くんは普段、服という仮面によって
服にしばられた体。仮面を付けられた心となっているのでしょう。
だから服をすべて脱ぐ=心の仮面も脱ぐということだと思います。

その心も体もさらけ出した沖くんが、とにかく面白いので
とてもいい主人公キャラ設定です。

動機やトリック、殺害方法や推理編あたりはまあまあでした。
叙述で「全員ヌーディスト」でしたので、それを先読みするには大分むずかしい

ヒントの中で唯一つかめそうだったのが、ビーチで盗撮されたのを、わざわざ船まで泳いで注意しにいくか?ってとこでした。
南国モード沖くんが"沖選手早い早い"などと心の声で叫んだりしてるので、その辺もキャラ設定にごまかされてしまいました。
それに船の若者もワーキャーって叫びすぎなとこも大きなヒントでした。
そりゃ全裸の男がいきなり船に上がってきたら叫びますよね。

まぁアイスピックの持ち出しあたりとか、ビデに睡眠薬とか・・・
そのへんの感想はさておき。

とにかく楽しく読める小説でした。
おすすめです。



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